第二話 貴方は誰?

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第二話 貴方は誰?

 その晩、私はほとんど何も考えられない状態でシャワーを浴びた。洗面台に付いている大きな鏡を見ながらスキンケアを終わらせ、黒く長い髪をドライヤーで乾かし始めた。  チカッ チカッ   チカッ チカッ  突然、風呂場と洗面所の明かりが点滅した。 「何だろう……」  しばらくすると収まったので、髪を再度乾かし始めた。髪が長いので、左を向いたり右を向いたりして徐々に乾かしていく。  ドライヤーから熱風か出ているのに、なぜか周囲がとても寒い……。前髪を乾かそうと正面を向いて鏡を見たとき、私の心臓は凍り付いた。  私の背後に、蒼白い顔の健太が立っていたのだ。 「健太!?」  バッと後ろを振り向いたが、そこには誰もいない……。改めて鏡を見ると、既に健太の姿は消えていた。 「私、疲れているんだな……」  何度か深呼吸をして、落ち着きを取り戻す。 「見間違いだよ」  私はそう自分に言い聞かせた。
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