第二話 貴方は誰?

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 私は先ほど健太が取り出したスウェットを片付けたあと、骨壺の中身を確認した。 「骨壺の中身はある……。健太は絶対に生き返っていない、だってここにいるもの」  焼かれて真っ白になった骨が、中にずっしりと入っている。手を伸ばして、そっと触れる。たしかに、健太を感じた。ああ、こんなにも小さくなってしまった……。私は悲しみの渦に飲まれる前に、骨壺の蓋を閉じた。  もう寝てしまおうと、布団に寝転びため息をついた。寝返りをうったとき、考えないようにしていた疑問が頭に浮かぶ。 ——それなら、家の鍵を開けて入ってきた健太は誰なの?  私は、その晩結局眠れなかった。
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