リアルで「ざまぁ」な展開なんて起こせないから

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※※※※ 「はあ?俺の嫁が、SNSで俺の不倫を呟いてる?てかあと一回やったら殺す?」  その日、私は課長に、そのSNSのアカウントの事を話してみた。  課長は、私のスマホでそのアカウントの呟きをスクロールした。そして小馬鹿にしたように鼻を鳴らした。 「あー、これ違うなー、てかうち結婚してもう10年目だし」 「こういうのはバレないようにちょっとフェイク混ぜたりしてるんですよ。それ以外のとことか全く同じじゃないですか。待ち合わせのお店とか、よく使うホテルとか」  私の主張に、課長は能天気に笑う。 「それこそフェイクかもしれないじゃないか。あとな、お前は知らないかもしれないが、うちの嫁はもう俺の不倫は認めちゃってるんだよ。つーか、嫁も彼氏いるしな」 「えっ、泥沼じゃないですか」 「どこがだよ。逆に健全だろうが」  健全?健全なのか?私は首をかしげる。 「つーわけで、うちは大丈夫!これはどっかの拗れた夫婦の話だ」  不倫部長は胸をはってみせる。  まだ首をかしげている私に、部長は小さくため息をついて近寄ってきた。 「心配するな、俺は殺されたりなんかしねえよ」  そう言って、課長は私に一週間ぶりのキスをする。  いつものホテルでいつもの流れ。  私と課長の付き合いは、もう一年以上になる。  私だって、不倫の罪悪感くらいはあるので、もし奥さんがそこまで追い詰められているならこの関係性をやめようかとは思ってたけど。  でも大丈夫だって課長言ってたし、いっか。  流されやすい私は、課長から優しい大人のキスを受けると、いつものようにこの関係性を受け入れてしまうのだった。
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