79人が本棚に入れています
本棚に追加
お母さんへ贈る言葉を全て言い終えたら、私の頬に熱い涙が流れていた。
いつからだったのだろう。気づかなかった。
私はゴシゴシと涙を拭って、しばらくぼーっとしていると、スマホの着信音が鳴った。
琉生からの電話だ。
「もしもし、海緒だけど…」
琉生の優しい声が、スマホ越しに聞こえた。
『海緒、今日も手伝いしに行くよ。夕飯、一緒に作って、一緒に食べたい。』
え!?一緒に作って一緒に食べる…!?
琉生と一緒に食べてみたかったから、全然いいんだけど…、
「え、手伝ってくれるのは嬉しいけど、一緒に食べるの初めてじゃない…!?全然いいけど、、」
『…………。』
琉生の言葉が止まる。どうしたんだろう?大丈夫かな…?
そんな私の不安は琉生の言葉ですぐに吹き飛んだ。
『海緒、泣いてる?』
私は驚きを隠せず、全力否定する。
「え!?えぇ!?泣いてなんかないし!泣いてない!」
その言葉は逆効果だったらしい。
琉生は確信してしまった。
『隠しても無駄だよ。声でわかる。声が変。いつもより鼻に詰まってる感じがする』
はぁ……これだから幼馴染は…。
「もうっ!琉生のバカッ!」
『必死に隠してる海緒、可愛いよ』
その言葉を聞いて、私の顔がボッと赤くなるのがわかった。
「わ、わかったからっ!!とにかく、早く家来てよっ!一人寂しい!!」
思わず、必死に懇願してしまった。
琉生の優しく微笑む声が、耳に残る。
『わかったよ、俺が今すぐ行くから。それまで我慢してて』
「五分以内には来て欲しいっ!じゃあ待ってるから!またねっ!!」
私は恥ずかしくなってブチッと電話を切った。
最初のコメントを投稿しよう!