君と一生分の恋をしたい。

14/33
前へ
/33ページ
次へ
私は覚悟を決めて、琉生にこれまでの出来事を話した。 「…あのね、琉生、私ね、ずっと琉生に黙ってたことがあったんだ」 「瑠奈が…如月海希って言ってたでしょ…、その人、私の母なの」 琉生は驚いて目を丸くした。 構わず、私は言葉を続ける。 「実はね……、私の曾祖母が、不思議な能力を持っていたの」 「それは、自分の命日がわかる能力。その能力は、曾祖母からずっと受け継がれてきたんだ」 「だからさ……私にもその能力があると思って。集中して考えたり、未来を恐れてたんだ」 「母は小説家だから…きっと母は、その能力のことを小説にして、みんなに伝えていたんだよ」 「私も母が小説家なのは知っていたし、瑠奈から母の名前を言われた時は本当に驚いたよ。家を出て行った時からずっと聞いてなかったから……。久しぶりに母の名前を聞いて…母のことを思い出して……悲しみに打たれた私を……琉生が…救ってくれて……」 あの日のことを思い出すと、涙が出てくる。 母と大喧嘩して、母が家を出て行ってしまったことをとても後悔して、公園のベンチに座って、泣きじゃくっていた。 そんな時、誰かが「大丈夫?」と声をかけてくれた。その人が、琉生だった。 私の泣き声は、段々大きくなっていく。 家から母を失った深い悲しみと、深い後悔。そして、そんな惨めな私を救ってくれた、優しい琉生。料理や洗濯を手伝ってくれて、放課後毎日遊んでくれて、楽しませてくれた、大切な人。 私が母に、なんで離婚したのなんて聞かなかったら母は……。 色々な感情が混ざりあって、次々と涙が溢れ出す。 「海緒……」 琉生は私の涙を優しく拭ってくれる。 あぁ、琉生は優しい、いつでも、ずっと、優しい。怒ったところなんて、見たことない。 ずっと一緒にいたい。なのに__ 叶わない。 「泣いてる私なんて…嫌だよね……」 琉生はその言葉を聞いて、ぎゅっと私を抱きしめる。強く、強く抱きしめた。 その感覚は、今までに感じたことがないくらい、心地良かった。 そして、耳元で呟いた。 「俺は……笑顔の海緒も泣いてる海緒も…どっちも好きだよ……海緒の全てが好き……、どんな海緒でもいい…、つらいことは、なんでも頼っていいから……、一緒に抱えるから……」
/33ページ

最初のコメントを投稿しよう!

79人が本棚に入れています
本棚に追加