君と一生分の恋をしたい。

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琉生は、私の気が落ち着くまでずっと背中をさすって、待っていてくれた。 やがて、私が泣き止むと、屋上を出た。階段を下っていき、下駄箱で靴を履き替え、校舎を出た。 帰り道は、あまり言葉を発さず、そのまま別れた。 家の前に着き、鍵を探して取り出すと、鍵穴にさした。 そのまま右側にひねり、玄関のドアを開ける。 「ただいま」 私は母の写真に言った。 登校するときも、下校して帰ってきたときも、必ず言っている……。 それから一時間ほど、勉強していた時、いつも以上に母への思いがたくさん溢れてきてきまった。 ちゃんと思いを伝えよう。 私は母の写真に語りかける。 お母さん……帰ってきて欲しいよ… ごめんね…あんなこと言って… 私があんなこと聞き出したから…… お母さん、きっと離婚のことで頭がいっぱいだったんだよね。 そんな状態で、なんで離婚したのなんて聞かれたら、怒り狂うに決まってるよね。 私がお母さんを苦しめたんだよね…、 本当に、ごめんなさい。 そして、能力のこと、教えてくれてありがとう。 私、知らなかったんだ。能力のこと。 お母さんに言われるまで、知らなかったんだ。 ありがとね、教えてくれて。 私、ずっとモヤモヤしてたんだ。 この未来を恐れる気持ちはなんだろうって、ずっと考えてたんだ。 なんだか、苦しくて、怖くて、未来が怖くて…… ……でも、最後にお母さんから聞けて良かった。 安心したよ。 理由がわかれば、怖くない。大丈夫だから。 …本当にありがとう。 十二年間、私を育ててくれてありがとう。 お母さんと過ごした日々は、一生忘れないよ。 ……お母さんが、この世界のどこかで、幸せに生きていることを願います…。
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