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五分ほど経った時、インターホンの音が鳴った。
私は即座に玄関のドアを出る。
相変わらず、笑顔な琉生が立っていた。
家の中に入れると、琉生は申し訳なさそうに言った。
「ごめんね、遅くなって。海緒がよっぽど寂しい思いをしてると思うと、こっちも胸が重たくなって……、海緒を一秒でも寂しくさせたくないと思って、急いで来たんだけど、それでも五分はかかっちゃった…」
その言葉を聞いて、私は涙が溢れてくる。
琉生の優しさと、安心に包まれて、思わず泣き出してしまった。
琉生はそんな私を抱きしめてくれた。
琉生は耳元で、優しく呟く。
「ずっと寂しかったんだね……、大丈夫、もう俺がいるから。安心して。海緒のそばにはいつでも俺がいる。寂しくなったら、いつでも電話していいよ。予定がある時は行けないけど……、でも、予定が済んだら、真っ先に海緒の家に行く。夜中でも、早朝でも、いつでもいい。つらくなったり、寂しくなったり、俺に会いたくなったらすぐ電話して」
私は琉生の心強い言葉を聞いて、どんどん涙が溢れてきた。
必死に琉生にすがりつく。琉生を離したら、地獄に落ちてしまう……そういう思いで。もう琉生を離せない。
そんな私を、琉生は大事に大事に抱きしめてくれる。
私は、そのまま一分ほど琉生の腕の中で、泣きじゃくっていた。
涙の嵐が過ぎても、琉生はずっと私を抱きしめていてくれる。琉生は優しく言った。
「海緒、お腹空いてない?だって、放課後からずっと泣いてるでしょ……。一緒に作らない?」
私は琉生の言葉を聞いてはっとした。
そうだ。私はずっと泣いてる。
屋上で泣いて、家に帰ってきて泣いて、今泣いた。
自覚した途端、お腹がグーっと鳴った。
「うん……作る」
琉生は私の言葉を聞いて、ニッと笑った。いつもの、私を安心させる笑顔だ。
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