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夕食ができると、私と琉生は手を合わせて、食べ始める。
琉生は、私が作った煮物を食べると、目をキラッとさせた。
「海緒の作った煮物、すごい美味しいよ」
それと同時に、ニッと笑う。
その笑顔に、ドクッと鼓動が鳴った。
今まで誰かのために料理を作ったことなんてなかった。
母がいた時は母が全部作ってくれていたし、母がいなくなって一人になってからは、自分で作ったものを自分で食べていた。
私の手料理を初めて食べてくれたのは、琉生だ。
私も、琉生が作った味噌汁を飲む。
琉生らしい、甘い味がした。
「私も。琉生の作った味噌汁、すごく美味しい、」
私はニコッと笑ってみせた。
すると、琉生も驚いたのか、顔を赤くする。
「顔、赤くなってるよ」
私は琉生の頬を指差して言う。
琉生は我に返った様子で言った。
「き、気のせいだから…、」
そう言っているけれども、明らかにいつもより顔が赤くなっている。
私は苦笑いすることしかできなかった。
「隠せてないよ…」
「あはは…」
琉生と一緒に過ごす時間は、かけがえのない宝物。
この時間は、ずっと大切にしていたい……。
なのに……。
神様、こんな未来、私は夢見てない___。
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