君と一生分の恋をしたい。

18/33
前へ
/33ページ
次へ
夕食ができると、私と琉生は手を合わせて、食べ始める。 琉生は、私が作った煮物を食べると、目をキラッとさせた。 「海緒の作った煮物、すごい美味しいよ」 それと同時に、ニッと笑う。 その笑顔に、ドクッと鼓動が鳴った。 今まで誰かのために料理を作ったことなんてなかった。 母がいた時は母が全部作ってくれていたし、母がいなくなって一人になってからは、自分で作ったものを自分で食べていた。 私の手料理を初めて食べてくれたのは、琉生だ。 私も、琉生が作った味噌汁を飲む。 琉生らしい、甘い味がした。 「私も。琉生の作った味噌汁、すごく美味しい、」 私はニコッと笑ってみせた。 すると、琉生も驚いたのか、顔を赤くする。 「顔、赤くなってるよ」 私は琉生の頬を指差して言う。 琉生は我に返った様子で言った。 「き、気のせいだから…、」 そう言っているけれども、明らかにいつもより顔が赤くなっている。 私は苦笑いすることしかできなかった。 「隠せてないよ…」 「あはは…」 琉生と一緒に過ごす時間は、かけがえのない宝物。 この時間は、ずっと大切にしていたい……。 なのに……。 神様、こんな未来、私は夢見てない___。
/33ページ

最初のコメントを投稿しよう!

79人が本棚に入れています
本棚に追加