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カーテンの隙間から差し込んでくる暖かい日差しと、蝉の声で私は目を覚ました。
あぁ、今日も一日が始まる。私の一日が始まる。
そう思った時、目覚まし時計が鳴った。ちょうど起きる時間だ。
重い瞼を開けて、ベットから体を起こした。
朝ごはんを食べに行こうと部屋から出ようとすると、学習机に置いてある、カレンダーに目がいった。
ある日付に赤ペンで目立つように書いた赤い丸が、私を煽っているように見える。
私は、”あの日”までにあることをやり遂げなければならない。
それは、想いを伝えるためだ。私を救ってくれた、大切な人に…。
私は赤い丸に決意を込めた眼差しを向けた。
部屋から出て、階段を降りる。ダイニングに向かい、朝ごはんを食べて、歯磨きをして、制服に着替える。それから髪を整えて、重い鞄を持って玄関に向かった。
ローファーを履いて、ドアに手を掛ける。
「行ってきます」
私は母にそれだけ言って、ドアを開けた。
一瞬で熱気が体を包み込む。
熱風で髪が靡いた。
私は学校への道を歩き始める。
耳が痛いほどに、蝉の大合唱が聴こえる。
もう夏だ。と痛感した。
時一刻と、”あの日”が近づいてくる。
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