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プロローグ
宮崎県西佐伯郡日之影町――
この町の一画で土地改良事業が行われた最中に、1台のユンボロイドが古い地層から棺桶状の謎の「古代遺物」を発見した。
『何だこりゃ?金属製の…棺桶みたいだが、変なダイヤルやらボタンやらがゴテゴテ付いている。俺の手には負えそうにもないから、とりあえず“人間”に報告しておくか…』
趣味でボディペイントを季節ごとにコロコロ変えているこの機体は、特別ボーナスとして高級塗料を購入できるポイントを期待しながら「上司」に連絡を入れる。
土地改良事業本部事務所にて。
昼ごはんに旧日之影温泉駅特製のチキン南蛮弁当を頬張っていた「上司」は、せっかくのメシの最中に、いきなりユンボロイドから連絡を入れられて不機嫌になる。
「もしも~し!誰かね?ユンボロイドからの通話らしいが。今は食事中だ。“人間”は機械やAIとは違って、メシの最中に携帯端末で呼び出されたら不機嫌になるのだよ」
『ああ…スミマセン…。しかし、今さっき俺、大変な発見をしてしまったかもしれないんです』
ユンボロイドは申し訳なさげに謝る。しかし「上司」の方は、この機体の発した「大変な発見」というメッセージが気になった。
「…キミ、何か異状を発見したようだが、それは何かね?古代の財宝でも掘り当てたとでも言うのかね?」
『まぁ、そんなモンかもしれません。何だかゴテゴテとしたボタンやらダイヤルやらの付いた、棺桶みたいなものですけど…』
「???よく分からないが…。よし!それなら私が行ってみよう!キミたちユンボロイドは、それまで作業を中止して待機しておくように!」
『はぁ、ありがとうございます…』
というわけで、このユンボロイドは土木作業を行っていた仲間のユンボロイドたちに連絡をする。
『お~い!お前ら!!今から“人間”が来るから、それまで全機待機しとこうぜ!!!』
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