第1話 鬼上司とポメラニアン(1)

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第1話 鬼上司とポメラニアン(1)

 ときに人生とは、何が起こるかわからないものである。 「うん、上手におしっこできたね! Good boy(いい子)」  目の前にいるのは、黒と茶の毛並みが美しいポメラニアン。資料室の奥まった場所にその犬はいた。  どこから入ってきたのだろうか――そんな疑問を抱えつつも、部署の資料を勝手に荒らされてはたまったものではない。気づけば、飼い犬相手のように自然と《コマンド》を発していた。  ……それが、まさかの事態を引き起こすだなんて。 「え……いぬかい、主任?」  この瞬間、羽柴大和(はしばやまと)のありきたりな日常は、突如として終わりを告げたのだった。
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