番外編 はじめての発情トラブル(5)★

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 先ほどまでとは打って変わって、まるで飼い主に叱られた犬のようだ。犬飼はフッと笑うと、込み上げる愛おしさに口づけてやった。 「君ってやつは、どこまで俺を惚れさせる気だ?」  そう上目遣いで続ければ、羽柴は目を丸く見開いて赤面した。こちらの体をぎゅっと抱きしめながら、感極まったように口を開く。 「蓮也さんこそ、どんだけ俺をキュンキュンさせれば気が済むんですか!」 「おい、そんなに抱きしめられたらっ」  そこで犬飼は言葉を失った。  何やら熱くて固いものが、腰のあたりに当たっているのだ。言うまでもないが、羽柴のものが性懲りもなく主張している。 「……羽柴」 「いや、その……これはですね……」 「まったく。君の方がよほど発情しているんじゃないのか?」 「す、すみません! 愚息がご迷惑をおかけしてすみませんッ!」  ……対照的に当人は縮こまっているのが、ちぐはぐで面白い話ではある。犬飼はやれやれとばかりに肩をすくめた。 「まあ、わざわざ咎める理由もないが」 「!?」  羽柴が驚いたように、ガバッと顔を上げる。  本当にわかりやすい男だと呆れつつも、犬飼の口元は自然と弧を描いていた。
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