第1話 鬼上司とポメラニアン(1)

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 ただ、上司としては至極当然のことを言っているにすぎない。仕事に対してストイックで、部下のマネジメントにも気づかっているからこその、厳しさだと理解している。  だから羽柴も、必死に食らいついていこうとしているのだ。いつまでも泣き言など言っていられるものか。 「羽柴くんかわいそー。犬飼主任ってば、なにもあんなふうに言わなくてもいいのに。なんでいつもイライラしてるんだろう?」 「さあ? でも、Dom(ドム)って噂だし――欲求不満とかじゃ?」  プリントアウトした書類を取るため、再び席を立ったところで、一般職の女性社員らの会話が耳に入ってきた。羽柴は書類をまとめながらも、つい耳を傾けてしまう。
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