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寝転がってニュースを観ていたら、いつの間にか眠ってしまったみたいだ。ニュースの代わりに海外の都市を紹介する旅番組が流れている。うつらうつらとしているときに、天気予報で梅雨が明けたという声を聞いたような気がする。
リビングダイニングの向こうの和室で、下着姿のかなこが仰向けでスマホを見ている。エアコンで寒くなったのだろう。布団の端を三角形に引っぱって腹に掛けている。こちらの視線に気づいて、片方のイヤホンをはずした。
「とも君、梅雨明けしたって」
と何でもないようにかなこが言った。昨晩は新品の水着にご機嫌だったくせに。
「なんて格好してるんだ」
というと「ブラはしてるじゃん」と笑った。
かなこはリビングの窓辺に立って空を眺めた。
「天気悪いし、本当に明けたのかな?」
「それを疑ったらキリがなくね」
かなこは窓に張り付いて、伸びたり首を傾げたりしている。空を見ようとしているのだろうが、おそらく外から下着姿が丸見えだろう。
動くたびに薄い艶のある下着が尻の割れ目に食い込んだ。イタズラしてやろうと立ちあがると、かなこが笑みを浮かべて振りむいた。
イタズラのチャンスは失ったが、そのまま誘われたふりをして後ろから抱きついた。薄い皮膚の向こうに肩の骨があり、それが熱く、生々しく性的だった。かなこの尻に勃起を押し付けた。
「向こうに」
それを無視してかなこが言った。
「向こうに虹が見えるよ」
空を見ると、甘い香りの先に、雲の輪郭が陽を受けて白く輝いているのが見えた。
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