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「今日は付き合ってくれるよね?」
全ての講義が終わり、席を立った俺を
悪友たちはまさに舌舐めずりして
待っていた。
有無を言わせず2人から両腕を抱えられ、
教室を出た俺は校門に横付けされていた
タクシーに押し込められた。
「な、何、どこに連れて行くつもり」
やっと解放された腕をさすりながら
そう訊いたが、佐橋は気に留めることなく
運転手に淡々とある区のランドマーク、
ハイクラスホテルの名前を告げた。
その場所までたぶん軽く30分はかかる。
タクシー代だってタダではない。
佐橋も宮嶋もバイトはしているだろうが、
つい最近までフツーの高校生だったし
余裕でタクシーで乗りつけるような場所
ではない。
頭の中が疑問符でいっぱいになった。
車中は沈黙に包まれ、
俺が予想していた時間をかけ
タクシーが目的地のホテルに止まった時、
出迎えのため立っていた相手の顔を見て
全ての謎が解けた気がした。
「センセイ」
明け方まで繰り広げた甘過ぎる宴は、
一気に色褪せた。
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