本編

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川瀬由貴。 俺より3ヶ月遅く生まれたイトコは、 幼い頃は色素の薄い髪と瞳をイジられ、 泣きべそをかきながら 俺の後ろに隠れるような奴だったが、 中学入学を機に それまでの人間関係を一掃できたことで 自分の容姿が他人に好かれる武器になると 気づいたようで、言動に自信がみなぎり、 自然と俺との距離を適切に保ちながら、 積極的に仲間を増やしていく。 一方。 俺、岸野葵はと言えば、 昔から勉強は努力しなくてもよくできた。 中学から私立の超進学校にコマを進め、 学年での席次も常に5番以内をキープ。 同じ学校にかろうじて通う川瀬に勝てるのは それだけだと思ったし、 実際に負けたことはなかった。 また高校卒業まで生徒会メンバーに入り、 意欲的に学校の活性化に力を尽くした。 運動はまるっきりダメだが、 つぶらで黒目がちな瞳と肉厚で小さな唇、 色白でニキビひとつできない艶やかな肌を 密かに気に入っていたりする。
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