本編

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「ここは」 目が覚めたら、自宅のベッドの中にひとり。 そして傍らのスマホの画面の日付を見て、 俺は飛び起きた。 3月5日、卒業式当日に戻っている。 え、もしかして長い夢を見ていた? 「一花」としての出勤は、 予定としては明日からだったが。 「やっぱり止めておくか」 岩瀬に開発されることは叶わないが、 俺は気づいてしまった。 嫌悪感から排除したいと思っていた イトコの川瀬由貴こそ、 俺が心から求める相手だということを。 「さて。どうやってアプローチするかな」 ハンガーにかかる制服に袖を通す、 最後の日。 とりあえず、 大学でも一緒になる悪友たちも誘って 焼肉でも行くか。 俺からの誘いにきっと嬉しさを 隠しきれないであろう川瀬を思い浮かべた。
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