19人が本棚に入れています
本棚に追加
「ここは」
目が覚めたら、自宅のベッドの中にひとり。
そして傍らのスマホの画面の日付を見て、
俺は飛び起きた。
3月5日、卒業式当日に戻っている。
え、もしかして長い夢を見ていた?
「一花」としての出勤は、
予定としては明日からだったが。
「やっぱり止めておくか」
岩瀬に開発されることは叶わないが、
俺は気づいてしまった。
嫌悪感から排除したいと思っていた
イトコの川瀬由貴こそ、
俺が心から求める相手だということを。
「さて。どうやってアプローチするかな」
ハンガーにかかる制服に袖を通す、
最後の日。
とりあえず、
大学でも一緒になる悪友たちも誘って
焼肉でも行くか。
俺からの誘いにきっと嬉しさを
隠しきれないであろう川瀬を思い浮かべた。
最初のコメントを投稿しよう!