18人が本棚に入れています
本棚に追加
「岸野はさ」
「はい」
「意図的に川瀬から距離を置いてない?」
「えっ」
いつも冷静沈着、感情の揺れが見えない
岩瀬からの意外な問いかけに俺は動揺した。
「ふ、私情を挟んで申し訳ない。担任として
というより俺、岩瀬敦彦としての私見。
岸野は真面目で責任感が強いしさ、
川瀬の運と軽快さで乗り切ってきました、
みたいなのは嫌いなのかと」
「‥‥わかります?」
「図星かあ。岸野には勉強だけじゃなくて
適度にガス抜きをして欲しいな。趣味は
ないの?」
「やりたいことならあります」
「じゃあ絶対それをやればいい。今より
もっと成長できるよ」
「はい」
話が終わり、岩瀬と進路指導室を出た。
そう。やりたいことは決まっているが、
それは大学に合格してから。
既に目処は立っている。
数日前に春から勤務OKと連絡が来ていた。
最初のコメントを投稿しよう!