本編

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「葵、由貴くんの進路聞いた?」 帰宅早々、リビングに待機していた母に 声をかけられた。 「全部じゃないけど、T大が含まれてるって」 そう答えてから、 自室のある2階へ続く階段を登っていく。 「悪いけど、勉強するから」 自室のドアに鍵をかけ、制服を脱ぐと、 言葉とは裏腹にベッドへダイブした。 今日は疲れたな‥‥ 川瀬がまた俺と同じ進路を目指している。 それ自体は川瀬の自由だ、でも。 いくら距離を置いているとは言っても、 視界に入るのはどうしても避けられない。 マジで勘弁してくれよ。 これ以上、同じ空気は吸いたくない。 目を閉じて、瞬時に景色を遮断した。
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