本編

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そして、今夜のお客様の中に 意外過ぎる人の顔があった。 「一花ちゃん、はじめまして」 元担任の岩瀬敦彦だ。 「今、幸せ?」 岩瀬の優しい微笑みを見て、 水割りを作る手が震えてしまった。 「はい」 「良かった」 「何故、ここを」 「知り合いに紹介されたんだ」 「そうなんですね」 水割りのグラスを岩瀬に差し出すと、 岩瀬は俺の手に自分の手を重ねてきた。 「キレイだよ」 気持ち悪い、なんて思うはずがなかった。 岩瀬と視線を絡ませ、 近くに誰もいないことを確認した上で 岩瀬に顔を寄せた。 「後で、家に行きます」 卒業式、佐橋たちに絡まれる前。 俺は岩瀬に自宅の住所を聞いていた。 最難関大学合格のフォローを 多分にしてくれたお礼を贈りたいという 名目で聞き出していたのだ。
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