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それから3人で部屋を出て階段を下りていく。
玄関先までやってきたとき、リビングから年配の女性が姿を見せた。
夏美の母親だ。
年齢はまだ40代だと聞いているけれど、その顔には疲れがにじみ出ている。
引きこもりになってしまった娘のことを案じているのかもしれない。
「お母さん、ちょっとコンビニまで行ってくるね」
「そう。気をつけて行ってらっしゃい」
夏美の母親はカメラへ視線を向けて会釈をした。
「こちらは夏美ちゃんのお母さんです。この前、挨拶させてもらいました。撮影も、もちろん許可してもらっています。夏美ちゃんのお母さん、暗くなってからコンビニへ行くことをどう思いますか?」
「もう夏美は20歳ですし、心配はしていません。こうして外へ連れ出してもらって、本当に感謝しています」
お母さんが雄一へ向けて深く頭を下げた。
頭には白いものが混ざっていて、達也の心がかすかに乱れた。
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