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「よっし。じゃ、チャイム鳴らしますかぁ」
達也の右手がカメラに入り込んできたとき、内側から玄関が開いた。
「うわっと……びっくりした」
達也が後ろにとびのいて画面が左右に乱れる。
体のバランスを崩したのかなかなか映像は定まらず、ようやく落ち着いたとき、玄関先に立っている男の姿が写った。
その男も20代前半くらいで、達也よりも色白で中性的な顔立ちをしている。
テレビでよく見かけるアイドルよりも目を引く存在だった。
「なんだよ雄一、驚かせるなよ」
雄一と呼ばれた男が笑って「悪い。玄関先でなにしてるんだろうと思って出てきたんだ」と、答えた。
「撮影するって言っただろ。それっぽく見せるために玄関に入る前から撮ってたんだよ」
「なんだ、そういうことか。夏美は2階で待ってるぞ」
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