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「そういうのも順序だてて紹介するつもりだったのに、お前のせいで台無しだぞ!」
「はははっ。俺のおかげで夏美が了承してくれたんだから、これくらいのことで怒るなって」
雄一が達也の前を歩いて玄関に入っていく。
どうやら引きこもりの相手はこの雄一という男と親しいことがわかった。
「おじゃましまぁす」
「まぁ上がれよ」
「だーかーら! ここは雄一の家じゃねぇだろ!」
前を歩く雄一の後頭部にツッコミが入る。
玄関の奥に階段が現れてふたりは2階へと移動していく。
ギシギシと床板が鳴る音と画面が揺れが一致して、すぐに2階へと到着した。
「夏美、達也が来たぞ」
2階の奥の部屋の前で立ち止まり、雄一がすぐに声をかけた。
が、撮影中の達也が慌ててそれを止めた。
「ちょっと待って。ドアの前で雄一の自己紹介を取りたいんだ」
「俺の? そんなの適当でいいだろ」
「ダメだっつーの! 俺は本格的なドキュメンタリーが撮りたいんだから」
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