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雄一がドアを開けて中に入ると、達也のカメラが女性をドアップにして写した。
不健康なほど色白で透き通った肌。
折れそうに細い体で、唇だけが赤く浮き出て見える。
「こんにちは夏美ちゃん。久しぶりだね」
「お、お久しぶりです」
夏美が緊張して左右に瞳を揺らす。
雄一が夏美の隣に座って、その手を握りしめた。
「このドキュメンタリーを製作するに当たって、夏美ちゃんとは一週間前に1度お会いしました。そのときにお互いに下の名前で呼んでいいということになっています」
達也の説明に夏美がうんうんと小刻みにうなづく。
「それで、夏美ちゃんは引きこもりって聞いたんだけど、それは本当?」
「はい、本当です」
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