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『昨日はこの部屋を使わせてもらいました』
右手のドアを開けると、6畳ほどの和室が見えた。
たたまれた布団と本棚とテーブルだけの簡素な部屋だ。
『電気は通っているし、水も出る。それに冷蔵庫に食べ物があったから、拝借しました』
『勝手に食べてよかったのかな』
美加の不安そうな顔がカメラに映る。
『こういうときは大丈夫だよ、命の危険があるんだからさ』
確かに、この状況が本物なら文句をつける人はいないだろう。
『ついさっきまで人がいたような気配があるのに誰もいない。まるでメアリー・セレスト号や迷い家を彷彿とさせますね。今日もここに泊まろうと思うんですが――』
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