遭遇する

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やがて玄関前で足音が止まり、同時にドアが叩かれた。 『すみません、すみませぇん』 それは若い男の声だった。 『誰かいませんか?』 こっちは女の声。 何人の人間が玄関先にいるのかわからない。 トミーと美加が顔を見合わせて戸惑っている。 トミーもさすがに顔色が悪くなってきた。 『ねぇ、この人たちここの家の人たちじゃないよ。出ない方がいいよ』 と、美加がトミーを止めている。 確かに、ここが自分の家なら『すみません』と、声をかけることはないだろう。 『でも、もし森で迷ってる人たちだったらどうする? ほっとけないだろ』 『でも……』 まだ渋っている美加を無視してトミーは玄関ドアに近づいた。
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