届けたい出前

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 彼は大通りに面したガードレールのそばにのぼりをあげた。  リリーは出入口を掃除した。もう一人従業員はいた。リリーと同じ歳の娘だった。そんなことをしているとあっという間に昼食の時刻になった。  麺をゆでる兄貴が来てかまの中でくしを回していた。利用客はきて「ざるそば一つ」と言った。男の客だった。  そこに男が一人来たと思ったらどこかで見た顔だった。 「リリー」彼はリリーに声をかけてイスに座った。 「お兄さん」リリーは答えた。どうやら彼女の兄らしかった。 「実はこうちゃんの元恋人はオレの今の恋人だけど、彼女はこうちゃんとの仲を戻したいと言いはじめたのだ」リリーの兄は言った。 「お兄さん今僕はリリーに恋している」彼は答えた。 「リリーはこうちゃんとできていて、兄のオレはサニーとできている」サニーとは彼の元恋人のことだったのだ。こうちゃんと呼ばれる彼の元恋人は今はリリーの兄と付き合っていた。 「問題ないです」彼は答えた。 「そうだよな」リリーの兄は力そばを食べて帰って行った。
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