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それから3日。
連絡は、一度もなかった。
「どうしたものかなあ」
「おい、いいのか? 来月上司とゴルフだろ?」
「まあそれまでには見つかる……んじゃないか? どうせ古びた安物だし、横取りする奴もいないだろ」
「呑気だなあ」
田端には呆れられたが、一度怒りを表に出すと雪だるま的に膨れ上がりそうで、呑気さは敢えてのことだった。
が。
「それ、怒っていいやつですよ!」
心配した大塚が、わざわざフロアの違う俺の部署までやってきて、代わりに憤慨して鼻から勢いよく息を噴き出した。
田端と二人、一歩退く。大人しい子だと思っていたけど、そんな顔もするんだ……と。しかしこちらを笑わせてしまうチャーミングさがあった。
「ゴルフ宅配便がゴルフに間に合わなくて何の意味があるんですか!?」
でも大塚、何かこう凄みがあって、俺の持っていた印象とちょっと違う……?
「え……でも、クレーマーに思われたりとかしたら」
戸惑い気味に俺がそう言いかけると、大塚は畳みかけてきた。
「いいですか? クレーマーというのは苦情の域を超えた粗探し、不当な要求をする人のことです。高田さんは本来受けられるサービスを受けられなかったんですから当てはまりません。つまり高田さんの文句は、相手の品質向上に役立つありがたい助言なんですよ!」
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