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ワインを飲みながらブレイクが手枷足枷をさせられた若者の爪をはぎ、ナイフで斬りつける様子を観察しては「伊勢見、デザートどうですか?」と部下が二人やってくる。
小柄で幼い顔立ちだが成人済みのジャンク。イケメン肌の見た目は良い。伊勢身の部下の中では一番の年上かつ纏め役のダスト。
「あぁ、それはジェラートかな」
「カシスと洋梨のジェラートだそうです。あまりにもシェフが気に入らなかったので掃除したんですがいいですよね。また雇ってください」
メインディッシュを食べ終え、シンプルな丸いお皿に乗せられた二つのアイス。それを静かにじっと見つめ「私の目は欺けませんよ。ブレイクに渡してあげてください。カシスにしては赤すぎます」と布巾で口を拭き、席を立つ。
「気分害しましたか」
ダストか少し嘲笑うように言う。それを横に食器が重なる音が響かないようジャンクが片付ける。
「いえ、別に。強いて言えばそろそろ敬語という名の仮面外して普通に喋ったらどうですか。流石に偉い人の前や使用人に対して好印象求めすぎです。僕みたいで気持ち悪い」
静かな伊勢見の言葉にダストは腹を押さえて笑う。先ほどの畏まった様子とは打って変わって別人で声色も態度も何処か面倒くさそう。
「そう。じゃあ、あの玩具壊していい?」
ダストはブレイクがナイフで突き刺し、遊んでいる玩具を指差す。
「お好きにどうぞ。僕は満足したので臓器売買やらミンチにするなり、ブレイクに食わせるなり勝手にしてください」
その言葉にダストはゆっくり下がり「ブレイク壊していいぞ」と声を張る。その瞬間、折れる鈍い音が聞こえ、悲鳴がピタリと止まった。
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