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伊勢見の言葉に目を輝かせ、一旦給油室で手を洗ってはペーパーナイフで郵便物を開けるジャンク。伊勢身はそんな彼を視界に入れながら掃除を済ますと「あれ、伊勢見さん」と呼ぶ声に若干屈みながら顔を向ける。
「はい?」
「これ、宛先が【伊勢見清掃会社】になってます」
一枚の郵便物を不思議そうに見せた。
確かにそこには“事務所”ではなく“会社”。
「あぁ、私の本業知っている繋がりのある人ですね。わざと事務所と小さく見せてるだけで本当は【会社】なんです」
「えっ……な、なんで隠してるんですか」
「小さく見えた方が大きな会社より声かけられやすいかと思ったので……まぁ、僕の気分です。そのうち変えますよ。それに、このビルは僕が買ってますから」
バケツを掴み、道具を片付けるため社長室を一旦出ては清掃用または洗浄用に改装した部屋で血を落とす。スーツの価格など気にせず、ずぶ濡れになっては本来ならオフィスとして使う場所を一部シャワールームとして改装した部屋へで汚れた血を流す。
知らぬ間に三十分も経っており、着替え用に置いていたYシャツとスラックスを着て、ネクタイを首に下げながら戻ると「これ、伊勢見さんへの悪口?」と首を捻るジャンクを見つけ口を開ける。
「家族でしょ。破り捨てていいですよ」
ネクタイを締めながら椅子に腰掛け、嫌そうな顔をしては「親が裏社会に戻れと煩いんですよ。洗ったつもりないんですけど」と少し怒り溢れる声で言っては奪い取り、ビリビリに破り捨てた。
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