音楽を聴きながら優雅な食事を……

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音楽を聴きながら優雅な食事を……

 月夜が見えるガラス張りのレストラン。  そこに一人の男性がフォークとナイフを手に上品に食事をしていた。  彼の名前は伊勢見(いせみ)。紺色のスーツを身に纏い、美味しそうに食べる姿は何処か可愛げがあるが――時より正面を見る瞳は“人殺しの目”をしている。 「ブレイク、音楽が好ましくないので爪を一つ一つ這い出ください。それでも良い音が出なければ……そうですね。斬りつけましょうか。暴行は飽きてしまいました。もう少し心地良い悲鳴が聴きたい」  清掃服の男性に目を向け、痣だらけで転がる若者を見下すそうに見ては「僕は普通に殺すのは好きではないので、なんかすみませんね。物としか見てない。いえ、音楽としか見てないが正解でしょうか」と止めていた手を動かす。  同時に正面から鳴き叫ぶ声が聴こえ、それをBGMに伊勢見は丁寧にステーキを一口サイズに切り、口へ運んでは「。やはりこうでないと」と微笑む。 「溢れ出す肉汁、ハーブの香り、シンプルな和風のソース。前菜は悲鳴がイマイチで不味かったですが……あぁ、悲鳴って良いですね。この時だけが【祝福のひととき】って感じがします。それ以外に食事すると砂を食べてるそうでストレス溜まるんですよ。嗅覚はまぁまぁ良い方なんですけど」
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