第一章 勇次と瞳

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 勇次は隣町のコンビニエンスストアで社員として働いていた。夜勤をメインに任されており、たまにアルバイトが急な休みとなると休みの日でも駆り出されていた。しかし、勇次は文句も言わず常に率先してアルバイトの代わりにシフトに入った。店のオーナーも悪いとは思いつつもつい勇次に甘えていた。 「いらっしゃいませ」  たまたま夜勤で一緒に入っていたアルバイトが休憩に入っていたため一人で対応したのだが、入って来た女性は髪が長く綺麗に真っ黒で目も大きく唇もふっくらとした感じだった。口紅も薄っすらとひかれ化粧もほんのり程度でこんな夜分にこんな子が出歩くのかと勇次は見とれていた。 「あの……申し訳ないんですが……」  その女は勇次に声を掛けた。 「いかがなさいました?」  レジ越しに勇次は応対した。 「あの、私コピー機と機械にうとくてやり方を教えてくれないでしょうか?」  女は小さい声でコピー機が扱えないのが恥ずかしそうにお願いをして来た。 「あっ、コピー機の使い方ですね」  勇次はレジから出て女にコピー機のやり方を教えた。勇次は教えながら女からいい匂いがすると思った。一生懸命操作する姿が愛らしく一瞬見とれてしまった。 「どうしました?」  女は不思議そうに勇次の顔を覗き込んだ。 「いや、この時間には見ないお客様だと思いまして」  少し誤魔化したように勇次は彼女の質問に答えた。 「最近引っ越して来たばかりなんですよ。それでまだ荷物が届いてないのがあって、その中にプリンターもあってそれで急いでプリントアウトしないといけないものがあって」 「そうでした。すみません。あっ、これで完了ですよ」  勇次がセットしボタンを押すと女がプリントアウトしたい文面が出てきた。 「親切にありがとうございます。あと飲み物とか食べ物も買いますので」  女は勇次に笑顔を見せて店内を回り飲み物とパンを買って出ていった。  勇次は女が買っていた商品を何故か復唱していた。
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