第二章 美鈴という女

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 美鈴が買い物を済ませアパートに帰ってくると集合ポストに封筒が挟まっていた。 「あれ? 出掛ける時は挟まっていなかったはず……」  美鈴はそっと封書を引っ張り出した。宛名は美鈴の名前だった。美鈴は首をかしげながら裏返してみる。送り主の名前は書かれていない。  ──何かの悪戯?──  美鈴は送り主のない封筒に気味が悪くなると同時に何故かしら興味が湧き、その場でかまわず封を開けた。そこにはある恐ろしい計画が書かれていた。 「何これ? これって……」  美鈴は慌てて封書を折り畳み、さっさと部屋に戻った。なぜか回りの目が気になる。鍵を掛け呼吸を整え、ゆっくりと封書を開き再度目を通した。  ──この方法なら確実にお金が手元に入る。でもやっぱり悪戯よね……それも悪戯なら悪質過ぎる。それとも詐欺?──  頭を巡らせながら買い物に行く前に受け取り投げ置いた生命保険のパンフレットに手を伸ばす。美鈴はパンフレットを急いで開き死亡保険の支払われる金額を確認する。  ──もし、この計画が本当なら慰謝料なんかより確実にお金が入る。邪魔者の命で──  美鈴は椅子に深く座りふっとため息を吐く。  ──こんな計画上手くいくはずがない──  美鈴は封書を丸めてゴミ箱に投げ捨てたが、黒い心だけが美鈴の片隅に残った。
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