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「実は正直迷いました。連絡先をくれたのは嬉しかったんですが、ちょっと前に、そうコピー機のお礼を言って頂いた時に上野さんが帰られた後すぐ、中年の男性に声を掛けられて……」
勇次は脅された出来事を正直に話した。
「やっぱり、それで羽山さん、ちょっとおかしかったんですね」
「はい。だからもしかするとこの先も上野さんに迷惑を掛けるんじゃないかと思いまして……それにやっぱり自分も怖いです」
しばらく無言が続いたが瞳が切り出す。
「あの人、私のストーカーなの。実はお金に困ってた時に夜のお店で働いていたことがあって。あっ、もちろん今は辞めてるんだけどその時のお客さんで。警察にも相談したんだけど、特に被害らしい被害は受けてなくて……ただどこかに出掛けたりすると偶然を装って何度も声掛けてきたりして」
勇次はただ瞳の告白を黙って聞いていた。
「それが今はだんだんエスカレートしてきて、今回みたいに羽山さんみたいにちょっと親しく話したりすると相手を脅してきたりしはじめて……」
「相手の名前は分かってるんですよね?」
「えぇ、お客さんだったからコウ君って読んでたけど本当の名前は分からないんです」
「そうなんですか。でもなんで俺なんかにそんなこと……」
瞳の返事に少し間が開いた。
「実は羽山さんのこと気になっちゃって……だから……」
勇次はその告白を聞き、複雑な感情が頭を巡った。
「そんな、俺なんかのどこがいいんですか?」
勇次はそう答えたが頭の中では勝手に瞳との将来を思い描いていた。
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