非日常

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非日常

「まぁ雨だよね」 少し大きめの黒い傘を差し、今日も歩く。 雨は弱くもなく強くもなく、一定の周期でザーッと降り続けている 確かに雨は一か月ほど降っている、最初の方は非常に話題となったが四日もすればそれが日常になってしまった。 いつか地球が水に覆われてもそれが日常となる日が来るのかもしれない。 くだらない、いや少し実りのある話を頭の中で展開していると神社の前に女の子が一人傘も差さず、木の下のベンチで雨宿りしているのが見えた。 青いワンピースに黒いジャケットを羽織っており、目を惹かれる恰好をしている。 背格好は僕より少し下だが、なぜか雰囲気で大人びていると感じてしまった。 通り過ぎると同時に横目でちらっと確認してみると俯きながら足をぶらぶらさせていた、親と喧嘩でもしたのだろうか。 特に気にせず、また頭の中で考え事を始めた。  「と、いうことで今日授業はありません!」 教室では歓喜が巻き起こっていた、あるものはすぐにスマホを取り出し、あるものは友達の席へと移動し、あるものはダンスを踊り始めた。  「明日から授業はあるかもしれないからな~」 「「「え~」」」 歓喜のモードから一転し悲観モードに教室は突入した。  「せんせ~地球最後なんだから一年間休みでもいいと思ま~す」 先生は困った顔をしながら話を始めた。  「俺だって休みがいいよ~でもね~俺が休みがいいって言ってもね~」 生徒たちは納得したかのように「じゃあ仕方ないか」となっていた。    「そんじゃあ12時まで自習でそのあとなら帰っていいぞ~」 僕はすることもないので教室の雑音の中眠りに耽ることにした。 気が付くと時計は12時10分を差しており、教室には数人の生徒しか残っていなかった。 机の横にかかっているバックを手に取り、傘を手に取り帰路を目指す。 傘を差し、いつも通りの道を歩く。 でもこの景色もいつか見れなくなってしまうのか・・・不意に感傷的な気分になってしまっていた。 丁度神社の鳥居が見えた時、朝のことを思い出した。 (あの子まだいたら・・・いや、いないか) 徐々に木下のベンチが見えてきた、目を凝らすとそこには朝と変わらず、女の子が俯きながら座っていた。 足のスピードをゆっくりと落としていき、丁度女の子が座っている目の前で足を止めた。 雨が傘に当たるポツポツという音はいつの間にか聞こえなくなっており、雨と地面が勢いよくぶつかる音が響いている。 「こんにちは」 声を掛けると彼女は驚いたように顔を上げた。 長くて黒い髪は腰ほどまであり、前髪は眉毛の下で切り揃えられている、特徴的な服装、朝からずっとここにいる、今は12時30分程だろうか? 「こんにちは、ちょっと相談してもいい?」 彼女は首を傾げ僕に返答を求めている、まるでずっと前から友達だったかのように、今日ここで待ち合わせでもしていたかのように。 「う、うんいいけど・・・僕なんかでいいの?」 自分を指さし、少し不安げに返答して見せた、話しかけてみたものの、家族関係の話とか、将来の不安とかを言われても僕の浅い人生経験からは答えられる自信がなかった。 「うん、大丈夫、大丈夫隣座って?」 彼女は少し横に移動し、ベンチの上を軽く掃除し手のひらで『どうぞ』という仕草をして見せた。 「うん・・・ありがとう」 座ると同時に彼女のため息から相談が始まった。
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