救いの手

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「あっ……このような時は、先ずはお礼を言うべきですよね?! 申し訳ありませんっ」 「だから、そんなに謝らないで」  ぺこぺこと何度も頭を上げるセリーナを見て、彼はフッ、と微笑んだ。  ——確かにこの侍女は痩せていて顔色も悪いから、不健康そうに見えてしまうのだな。それに彼女の手は傷だらけで荒れている。《白の侍女》にしては、珍しいタイプだ。 「そういえば。あなたには前にも一度会っているね?」 「はい……回廊でお見かけしました」 「あなたに書類を託した事があったな。わたしはアドルフ・シャニュイ。皇宮(ここ)に居ればまた会うこともあるだろう」 「シャニュイ公爵様……。私はセリーナ・ダルキアと申します、これでも一応……白の侍女です」  ──彼女はなぜ、こんなふうに人に怯えたような、臆するような態度を取るのだろう。
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