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「うぎゃぁぁぁ────っ!」
のしかかる胸板を突き飛ばし、身体を両腕で庇うようにして跳ね起きたのはセリーナだ。
「こ、高潔な皇太子様が、そんなところを触ってはいけませんよっ! お風呂には入ってきましたが、それでも穢れてしまいます、おやめください……っっ」
変人侍女に押し倒され、カイルは床の上に尻餅をついて横たわっていた。もはや呆れを通り越していて、侍女の怪力に恐怖すら感じてくる。
——この段階で、お前はまだ拒否するのか?!
すっかり固まってしまって動かない身体と、怒るべきか叱るべきかもわからなくなった感情を持て余し、言葉をも失ってしまう。
──この侍女、無理だ。
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