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額に手を当てて項垂れる。
もはやこの侍女が今どんな顔をしているかなど見たくもない。
と言うか、見るのが怖くもある。
「もぅ下がって良い……さっさと下がれ…… いや出て行け!」
*┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈*
さわさわと風に揺れる木々の葉音が心地よく耳に届く。
重なり合う葉っぱの隙間からいく筋も差し込む日の光が、カイルの頬の上を揺蕩っていた。
中庭のテラスで摂る昼食の席には、カイルとアドルフに遅れてロイスが加わり、三人がようやく揃ったところだ。
だがひとつだけ、いつもと違っているものがある。
「ちょっ、殿下? その座り方どうしたんですか……しかも顔色、悪っ!」
「ツッコむなロイス」
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