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「よっ、弱いものいじめだなんて。私たちは物を知らないこの方に、色々と教えて差しあげていただけです」
「私にはそう見えなかったけどね」
「…………」
青年の射抜くような眼差しに、侍女たちが怯んでいるのがわかる。
「し、失礼いたします!」
髪を肩の位置でくるくる巻いた侍女を筆頭に、彼女たちは青年にそれぞれ一礼をして、そそくさとその場を後にした。
あっ気に取られるセリーナを横目に、シャニュイ公爵と呼ばれた青年が床の上に散らばった本を次々と拾い上げていく。
「あっ、あのう」
そして彼は無言のまま、拾った本をまとめてセリーナに手渡した。
「公爵、様……。先ほどは申し訳……ありませんでした」
「なぜ謝るの? 何か悪いことでもしましたか」
「そうではありませんが、ご迷惑をおかけしたので」
迷惑? と、青年が首を傾げる。
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