161人が本棚に入れています
本棚に追加
「んぅ……!」
はしたないと慌てて呼吸ごと飲み込んだ。
それを見抜いた皇太子が夜着の上からすでに固くなった頭頂をいたぶるようにくにくにと弄る。
「や、だ……っ」
初めての刺激に呼吸を荒くしたセリーナは懇願するように瞳を潤ませ、皇太子を見上げた。
「お前が嫌がっているのは知っている。だが許せ。これは私とお前の責務なのだ」
夜伽は『白の侍女』に課せられた《責務》だと理解っている。
けれど——嫌がっていると知っていて尚それを強いる皇太子本人が何故『許せ』と言ったのか。この行為を責務だと呼んだのか……セリーナにはわからなかった。
それでもどうにか抵抗を示そうとして言い放った「嫌だ」という言葉は、きちんと皇太子の耳に届いたようだった。
おもむろに半身を起こした皇太子が気怠そうに顔をあげ、落ちた前髪を掻き上げる。青白い月明かりに照らされた面輪はやはり途方もなく美しい。
——良かった、許してもらえそう……っ
最初のコメントを投稿しよう!