Prologue————*

6/7
前へ
/116ページ
次へ
皇太子のために集められた見目麗しい『白の侍女』は二十人もいるのだ。しかもセリーナ以外の皆がこの鬼畜な責務を待ち望んでいる。 皇太子だって嫌がっているセリーナに無理強いする必要もないだろう。 大剣を振るうべく鍛えられた筋肉質な体躯に、月の光が青白い影を落としている。 美術品でも眺めているかのようなその光景は筆舌し難いほどに(なまめ)かしく、セリーナの鼓動がどくりと跳ねた。 「なんだ、可愛いじゃないか」 ふ、と目を細めた皇太子は妖狐のような薄い笑みを浮かべている。その視線が刺さるようで、セリーナは無意識に両腕で自分の身体を掻き抱いた。 「そっ……そんなふうに、見ないでください……」
/116ページ

最初のコメントを投稿しよう!

161人が本棚に入れています
本棚に追加