20人が本棚に入れています
本棚に追加
「成る程。では恋愛人種が増えれば少子化問題は自然と解決する。という意見についてはどう思います?」
「愚問ですわね。答える気にもなりません」
世界的にもAIマッチングアプリで結婚したカップルは子供を作らず、少子化問題は深刻な状態に陥っている。
日本初の女性総理大臣に就任した市川葉子は、恋愛感情に溢れた若者が増える事を願って、試験的に清流学園に生徒の『相談窓口』を作る政策案を決定し、文部科学省は篠原紗代子へ『恋のアドバイザー』を依頼した。
「失礼ですが、篠原先生も恋愛人種なのでしょうか?正直、総理主導の案件とはいえ、荒唐無稽だと言う反対派が多く。僕もピンとこないのです」
疑問を投げた面接官は首を傾げ、他の面接官は訝しげな目付きで紗代子を観察し、右端の女性面接官は『白髪になったのは、何歳かしら?』と隣の者に耳打ちし、読心術に優れた紗代子は文句を言って立ち去ろうと思った。
「ふん、年齢不詳の怪しい白髪女が恋愛を語っている、と思ったのね。私はこの世界に恋愛人種を増やす使命感で足を運びましたが、別にエリート官僚に頭を下げてまで、お受けするつもりはありません」
最初のコメントを投稿しよう!