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恋愛相談室
長野県松本市、松本清流大学の緑溢れた広大なキャンパスに隣接して、中高一貫校清流学園のモダンな新校舎があり、一階中庭側に屋根とテラスが増設され、廊下側のドア面に『恋愛相談室』のプレートが貼られ、室内へアンティークなデスクやチェアを配達員が運び入れ、紗代子がセッティングの指示をしている。
「デスクはもう少し窓側より、サイドテーブルは壁側でお願いします。あら、注目の的になってるけど、みんな税金の無駄遣いだと怒ってるのね。でも、自費で揃えたんだぞ」
テラスに出て背伸びをした紗代子は、教務員室や二階の窓からこっちを見ている教師や生徒を眺めて、窓辺に立つ小林貴之へ振り向いて質問した。
「しかし、よくOKしたね?」
「十二使徒は重要なポストに就き、君をバックアップしている。面接試験は体裁であり、紗代子が恋愛アドバイザーに就任するのは決定事項だった」
「だったら最初に言ってよ。小林くんが文部科学省の事務次官だなんて初耳だよ」
篠原紗代子と小林貴之は松本清流大学の同期生であり、大門教授の特別講義を受けていた。
「面接の時、思い出したんだけど。上門教授の特別講義、一年生の時は教室に入り切れないくらい人気だったよね。でも、最期は十二名だった」
「受講生が減ったのは荒唐無稽で不評だからと言う意見と、厳しい審査を勝ち抜いた十二名が残ったという噂があった。つまり、後者が正しかったって事だ」
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