「まて」ができないキミ

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それから奇妙な日々が始まりました。 僕はチロルにご飯をあげます。 ドッグフードではなくてお米です。 チロルは箸が使えません。 チロルは、僕がご飯をやると、 お茶碗に顔ごと近づけました。 僕は慌てて「まて!」と言ったけど、 チロルはそのまま顔を突っ込みました。 米粒まみれのチロルの顔が面白くて、 僕もチロルの真似をして、 顔面米粒まみれになりました。 「あはは!!」 僕は楽しくて笑いました。 まるでほんとうにチロルとの生活が戻ってきたみたいです。 チロルは僕の顔を綺麗にしようと、 いつもよりも小さな舌で顔を舐めてきました。 胸がどきんとしました。 「やめてよ、チロル」 といったけど、チロルは 「いつもやってるのに」 と言いました。 確かに、そうなんだけど...... 人間のチロルに顔を舐められるのは、 なんだかとっても恥ずかしかったのです。
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