「まて」ができないキミ

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チロルをお風呂に入れてやるのも僕の役目でした。 人間のチロルも僕にお風呂に入れて欲しいみたいです。姿は僕よりも大人なのに...... とんちんかんな気がします。 「うぅ.......」 身体を洗ってやる時、 人間になったチロルのチロルが大変立派で、 僕は少し恥ずかしいです。 お風呂が終わると、チロルはビシャビシャのまま 部屋に飛び込もうとしました。 僕は咄嗟に「まて!」と言ったけど、 やっぱりチロルは「まて」が出来ません。 ベッドも床も水浸しになりました。 僕は「チロルおすわり!」と怒りました。 しゅんとした顔でチロルは床に正座しています。 僕はタオルでチロルの身体をしっかりと拭き、 ドライヤーで髪を乾かしてあげました。 「康太、ありがとう」 チロルは嬉しそうな顔で言いました。 そして、僕の顔を手のひらで包み、 僕の鼻先にチロルの鼻先を擦り付けてきました。 チロルにとっては普段通りなんだろうけど、 顔と顔が近くて、どうしても僕は ドキドキしてしまうのです。
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