「まて」ができないキミ

6/9
前へ
/9ページ
次へ
僕はいつもチロルと一緒に寝ていました。 なので、ニンゲンのチロルも当たり前のように、 僕の布団に入ってきます。 いつもは僕の腕の中におさまるサイズなのに、 今は逆に、僕がチロルの腕の中に おさまってしまいました。 ニンゲンになったチロルは大きすぎて、 ベッドがとても狭いです。 でも、変わらずチロルはとてもあったかくて、 安心して僕は眠りました。 朝になり、僕は今まで感じたことのない 圧迫感で目が覚めました。 「康太、起きろ」 チロルが、上に乗っかっていたのです。 「チロル、重いよ......」 半分裸の男の人が、僕の上に乗っているのは やっぱりおかしな光景です。 でも、ワンワン! 以外の声で起きるのは新鮮で、 少し面白いな、と僕は思ってしまいました。 太陽の光が眩しい、そんな朝でした。
/9ページ

最初のコメントを投稿しよう!

3人が本棚に入れています
本棚に追加