「まて」ができないキミ

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「康太、学校には行かないのか?」 チロルが僕に聞いてきました。 「学校は......ないよ。」 と僕が言うと、 チロルは凄く凄く悲しい顔をしました。 きっとチロルは外に行きたいのです。 チロルは黙って、僕の顔を舐めました。 チロルの舌は生温くて、僕はその感触が とても好きだと思いました。 「散歩に行こうか」 僕はチロルを外に連れ出そうと、 チロルの首にリードをはめました。 チロルは僕より大きいので、 少し屈んでもらって、 ようやくリードをつけることができました。 「どうせ逃げないのに」 とチロルは言ったけど、 チロルは1度家を飛び出していったので、 僕は心配だったのです。 リードを握る中学生と、 そのリードに繋がれた青年。 玄関の姿鏡に映る僕たちは、 異様そのものでした。
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