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最後に晴翔と会って話すのか聞かれたけど、私は断った。向こうだって今更という気持ちもあるだろうし、お互いが幸せならばそれで良いはずだ。
「あたしって、いつも二人の仲介役だよね」
溜息交じりでありながらも、どこか温かみのあるトーンで親友がぼやく。
そういえば私と晴翔が喧嘩したりすると、いつも彼女が間に入っていた。伝書鳩のように、言葉を届けて貰ったこともある。
「でも、これで最後かな」
彼女の言葉に私は同意する。お互いに抱えていた蟠りが消えたのだから、これ以上は必要ない。
私は礼を言って電話を切る。時計を見ると三時を過ぎていた。夢の中では進まない時を現実だからこそ、実感できるのかもしれない。
もうすぐ娘が帰ってくる。
時を刻む秒針を眺めながら、私はその時を待っていた。
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