たった一文字

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たった一文字

わかってる、それが義母幸代の性格でなにも悪気はないだろうということも。 でも、たった一文字のその言葉が私にはどうしてもカチン💢ときてしまう。 たとえばケーキを何種類か買ってきて、当然義母幸代にも勧める。 血糖値を気にしてると言いながら、カステラも羊羹も食べるから。 「お義母さん、どれがいいですか?イチゴのショート?マスカットのタルト?モンブランもありますよ」 「えー、私、血糖値が上がるから……」 これはいつものこと。 「食べないんですか?」 「じゃぁ、いいわ」 カッチン💢 出た、出たよ! お土産を選ぶ時も、メニューを決める時も そこはどうしてと言えないのか。 よかれと思って勧めても「」と言う。 そこは用意した人に気を遣って 「」じゃないのか? 『で』と『が』では、受け取る感じが正反対なんだけど。 あ、そう言えば(ハゲ)も、同じ言い方をする。 「晩ご飯、なんにしようか?」 「トンカツいいわ」 たった一文字の違いで、言われた方のメンタルにこんなに響く言葉はないだろう。 今度は私も同じように答えようかな? いや、多分、なんにも感じないんだろうなぁ……。 あーっ! むしゃくしゃするっ!
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