墓参り

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墓参り

お盆の季節になると、やたらに墓参りをするように諭す義母。 平沢家代々のお墓は、地区の墓地の真ん中あたり、それも何故か三つもある。 もちろん知らないご先祖様ばかりだ。 大人になった子供たちは、滅多なことでは墓参りなんてしなくなった。 かと言って粗末に扱っているわけでもなく。 暑いし、わざわざ行かなくても仏壇にお参りするからいいと言う。 「冷たい子たちねぇ、おじいちゃんも寂しがるわよ」 それを聞いていた(ハゲ)が口を出す。 「ご先祖様を大事にしないとバチがあたるぞ!」 「そうよ、夜中に化けて出てくるわよ、墓参りに来ないとバチがあたるぞって」 出た、いつもの(ハゲ)の決め台詞と、ご先祖様をまるで妖怪のように言う義母幸代。 この前福子にこの話をした時に、福子が言ってたセリフを返してみる。 「自分の代々の子孫に、墓参りに来ないくらいでバチをあてる先祖なんているの?ご先祖様って、そばにいて見守ってくれてる感じだけど?それとも平沢家のご先祖様ってそんな感じなの?」 「…………」 義母も(ハゲ)も黙った。 子供たちは、それぞれスマホから目を離さず笑っている。 やったぜ、福子! *そういえば貴美がこの話をした時、そんな返事をしたなぁと思い出しました。
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